御嶽コマクサ

〜コマクサの歴史と保護活動〜


御嶽は、その気候状況がコマクサの生息にひじょうに適したところです。 しかし、歴史をたどると御嶽のコマクサは一時、絶滅の危機に瀕したことがあるのです。 コマクサはもともと薬草のひとつだったこともあり、解熱や鎮痛作用があるとされ、当時よく効く薬を作るため、御嶽に生息しているコマクサを大量に採取し、薬の中に混入していたのだということらしい。 (その頃は現在とは違ってなかなか医学に頼るよりも、むしろ自然の力を信じていたのではなかろうか)

しかしその影響で、御嶽のほとんどのコマクサは採りつくされ、壊滅的な打撃を受けてしまいました。 五の池小屋周辺に咲くコマクサも40年程前、どれだけ探してもコマクサの株ひとつ見つけることはできなかった聞いたことがあります。

その後時代は移り変わり、自然保護という概念が社会に根付き始め、少しずつ高山植物を守ろうという気運が高まり始め、国の規制もだんだんと厳しくなってきたこともあり、コマクサは少しずつ増え始めてました。 しかしそれでも、一般登山者の一部の心無い人たちがコマクサを根こそぎ採っていったり、写真を撮ろうとコマクサの生息地に侵入したりして、なかなか順調には回復していかなかったようです。

五の池小屋が開設した2000年頃はどんな状態だったのかというと、その頃のコマクサは、登山道から離れたところで、ぽつぽつと咲いてましたが、 沢山のコマクサを一度に見ることは出来ませんでした。 そこで五の池小屋では、この御嶽の自然の中に、本来多くのコマクサが生息していたのならば、出来る限りそのもとの姿に戻してやるべきだと考えました。 コマクサの保護活動はこうして始まりました。 

保護活動といっても、人間の手を出来るだけいれないことを心がけ、ロープ規制や看板などで注意書をし、あとは林野庁からグリーンサポート・スタッフという仕事を受け、人の目を使って立ち入り禁止内に入っている人はいないか、パトロールしているだけのとてもシンプルなものです。 しかし、それだけで十分です、自然の回復能力はとても優れています。 保護活動をはじめて約10年、現在では1000株以上のコマクサの大群落を見ることができるようになりました。 
コマクサはここ御嶽山を代表する花にふさわしく、今日も美しく咲き誇っています。




     


           五の池小屋の近くにはコマクサの大群落

         小屋から継子岳方面に100m歩いたところ   (見頃 7月中旬〜8月中旬)